通天橋という名の、それは古~い、木製の親柱の修理。
通天橋、それは古~い、木製の親柱であった。
通天橋。京都市東山区の東福寺境内に同じ名前の橋がありますが今回はこの橋のことではありません。
昔々、どれくらい昔なのか定かではありませんが麻布に池があったそうで、その池に「通天橋」という名前の橋が架かっていたそうです。今は池も橋も存在していませんが、その橋「通天橋」の親柱だけが残っていたそうです。
親柱というのは、橋の両端に立っていて橋の名前とか川の名前が書いてある回りの柱より少し大きく、頭に擬宝珠などがある柱のことです。
その親柱を修復して家の庭に飾り楽しみたいという依頼でした。
最初に親柱を拝見したときとてもひどい状態でした。雨にあたるところに保管してあったたいで濡れていて、腐っていて、木がスカスカの状態でした。
これだけひどいといつもはお断りするのですが、いつも日頃からごひいきにしていただいているお客様なので引き受けることにしました。
でも、まぁ~、どう直していいものやら、時間はいつも”何か月かかっても良いからゆっくりやってください”と言われるのですが、今回だけは甘えさせてもらいゆっくり直すことにしました。
何はともあれまず濡れている親柱を乾燥させているその間に修理の方法を考えることにしました。
今はパソコンという椅子に座りながら何でも調べられるインターネットという仕組みがあるのでいろいろ調べるのにはと~っても便利な世の中になりました。腐った木の補修の仕方やらどんな塗料を使っているのやら、こ~んな直し方があるんだよ~とか、何がいいとか悪いとか、いやぁ~勉強になります。
結局、色々考えたすえに庭に置いて楽しみたいとのことでしたので雨、風、紫外線などに耐えてくれないといけないのでお客様の了解を得て木製のボートやカヌーなどの修理に用いられる塗料一式を使うことにしました。
なるべくオリジナルを生かしたかったので、腐ってどうしようもないところだけは取り除き、新しい木で埋め木したりパテを使用したりして柱を補修し、外面を塗り、土台に柱を差し込めるように細工をして、庭のどこにでも置けるように土台を作り完成させました。
初めて使うものばかりだったので普段は絶対読まない取説をこまめに読み理解し、乾燥させるときはそれ以上に時間をかけ混ぜるときはキッチリはかりで計り、かなり気を使いながら修理にあたりました。
と~っても大変でした。と~~っても時間がかかってしまいました。出来上がって良かったぁ~。ほぉ~~っとしました。
余談になりますがいろいろ調べているときに京都市東山区の東福寺境内に通天橋という名の橋があるそうです。この橋になぞらえて名前を付けたのかもしれません。
通天橋は京都市東山区の東福寺境内に洗玉澗(せんぎょくかん)という渓流に架かる。「東福寺三名橋」のひとつで本堂と開山堂とをつなぐ歩廊の一部。残りは、偃月橋(えんげつきょう)と臥雲橋(がうんきょう)があります。
特に紅葉で有名な通天橋ですが、春の新緑の時期に青々と生い茂るもみじも「青もみじ」と呼ばれ親しまれています。この青もみじは京都市内の寺社でよく見ることができますが、東福寺通天橋の青もみじは特に有名です。朝早い時間では希に渓谷に立ちこめる雲海を見れることもあるそうです。
京都においでの際は東福寺を訪れてみてはいかがでしょうか。